シリーズ:青春カラーズ

マキタは誠実だったと思う。 僕が同じ立場だったら、黙ってただ僕を無視しただろう。 なかったことにして。あるいは、 なかったことになるように。

そんな記憶が僕を誠実に縛り、 やがて自分がそんな立場になった時、 ちゃんと思ったことを相手に告げた。

「ぐだぐだ考えてないでさあ、サクサクおもろいことだけやろうよ」

という強烈な空気の中で、僕はずっと納得がいかなかった。 僕だけは特別な人間だと思っていた。 お前たちと一緒にするな、と思っていた。

いや、思いたかったがそれも出来なかった。 どんな単細胞だよ、と自分を鼻で嗤った。 心の中では、もっと適当に楽しく人に合わせよう合わせようと思っていた。 思っていただけで、何もしなかった。

結局何も出来ないまま、何もしないまま忘れていく。 忘れることが正しいのだと自分に言い聞かせてゆく。

記憶に強烈に刻印されるのは、 僕でない、僕の近くの人が言った言葉だけ。

ハセガワが女性と話す様子と、オズ先輩が煙草を吸う様子 僕は善人ではない。

ので結局自分がしてもらって嬉しかったことしか人には出来ず、それは大体いつも自己満足です。

人が言うことは、 どんなに考えても僕にはよくわからない。

美術部でハセガワが絵が描けないと嘆き、マキタにアイスを頼む様子 「しあわせ」は今の僕なら簡単に定義できる。 それは自分のことしか考えなくていい時間のことだ。

高校生のオータニとマキタ、マキタが「面白い人」について考える漫画の1ページ

「○○と繋がりたい」みたいな感じの人は苦手だ。 どこまでも自分本位でワガママで勝手な人がいい。

僕にでも出来ることにはちっとも興味がわかない。

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