「君しか知らない話をどうか僕に。」2020 .09.24一組の男女が会話をしている場面だ。女性は島根まで来たことを話し、男性に行きたい場所を尋ねる。男性は日本海と健康ランドしかないと答える。女性はかつてのバス停での思い出を語り、初めて男の子に好きだと言われたことを懐かしむ。彼女はそれを面白くて変だと思っている。旅は好きだった。 旅の目的は、何かを見ることではなく、何も見ないことだった。 自分を知っている人間がいないというだけで、 僕の心ははずんだ。やがて、誰かと旅をすることを覚えた。 それは何かを見る旅だった。 目的を達するための旅だった。 僕は次第に疲弊した。奥崎の実家に挨拶に行った。 目的は達した。僕は君のことを知りたいと思った。 雪が降り出した。君は君しか知らないことをたくさん話した。 僕は、そうやって人を好きになる。