就職などせず僕は最初からフリーランスで仕事を始めた。

と書けば格好いいが、違う。 就職できる能力がなかっただけの話なのだ。 そういう意味で、僕には「就職できなかった」という劣等感がいつまでもつきまとう。

先輩が卒業してからも、 僕は時々会いにゆき、 愚痴や大人の事情を聞くかたわらで、 夢のようなポエムのようなことを話し続けた。

そんなできの悪い弟のような僕を、 先輩はどんな気持ちで見ていただろうか。

僕が29歳で結婚するまで 先輩とのやりとりはほそぼそと続いた。

僕はやっとそこで大人になり、週に何日かとは言え、 先生という安定した職を得て、

ろうそくの灯が消えるように 先輩との関係は途絶えた。