引用:ロートレック「洗濯女」

「洗濯女」ってご存知ですか。 文字通りお金をもらって洗濯する女性、及びそういう職業を指します。 16世紀くらいから主にヨーロッパで存在した職業です。

今でいうクリーニング屋さんか、というとちょっと違います。 洗濯女はお金持ちの下で低賃金重労働をせざるを得ない、 身分の低い女性のことです。娼婦や踊り子も近い存在でした。

僕の大好きな画家ロートレックは代々続く貴族の出身です。 代々続いたが故に、血が濃くなってあのような姿になったとも言われています。 (教科書的には落馬事故で足の発達が止まったとなっていますが)

そのせいで父親に疎まれ、劣等感の塊となった青年ロートレックは、 好んでこうした身分の低い女性の世界に共感し、入り浸ることになります。

その気持ちはなんだかひどくわかります。 僕はもちろん貴族ではありませんが、 大学生の頃は貧しい労働者こそ尊いという考え方でした。 不自由なく育ったブルジョアのエリート青年が 頭の中だけで革命と理想に取り憑かれるのと同じです。 不自由のない人間には不自由がないなりの劣等感があるのです。

それらの暗い情熱はやがて現実の中で矯正され、 社会の中で変節していきます。僕もそう。

だから変節できずにそのまま破滅していった芸術家の 作品が好きなのです。