小学校2、3年生になると 昆虫図鑑、恐竜図鑑、天体図鑑に飽きて 一人では箱から出せない重さの「西洋美術大全・全20巻」を眺めるようになった。
書庫にはやたらとそんな百科事典があったが 昭和3、40年代は百科事典を買うのがブームだったんだろうか。
僕がまず目にとめたのはドミニク・アングルの「泉」(1856)だった。 アングルはフランス新古典主義の最重要人物、「泉」はその最高傑作だ。
アングルの人物画にはいつも生気がない。 陶器で出来た人形のように冷たい。
もうしばらく経つと 僕は空き地の廃バスの中で 当時ビニ本と呼ばれた無修正のヌード写真集を拾うことになる。
そんな感じで僕の春はスタートしている。
