下宿の窓を少し開けると、降り止まない雨の音が思いのほか大きく聞こえる。 先輩が「鬱陶しいなあ」とぼんやり独り言をいう。

「僕がですか?」と言ってみる。 先輩はそれを無視する。

僕の下宿で二人きりでいても、先輩は全く僕を警戒しない。 信用されていたから?

違うよ。 先輩の視界にさえ入っていなかったからだ。