高校からすぐの場所に大きな図書館があったので 学校の図書室にはあまり思い出がない。
僕が小学校3年生の時に出来たその公立図書館の、 一番奥の隅っこにあるラ行の書架にずらっと並んだ 真っ黒な背表紙のラヴクラフト全集、 そこがいつも待ち合わせの場所だった。
彼氏彼女が出来ると全部オープンにするタイプと ひた隠しにするタイプがいる。
僕は後者だった。 冷やかされたり、関係のない人間に興味を持たれるのが何より嫌いだった。 また「みんなに認めてほしい」なんて願望もなかった。
いつもこそこそしていた。 男らしくないと思われていたかもしれない。
別に悪いことをしていたわけではないのだけれど。
